源氏物語を50代から読み返す 「聞こえ(評判)」という語

この7月から、源氏物語の読書会の講師のお話をいただき、月に2回メンバーの方々とご一緒に楽しく読み返しています。

メンバーは、60代以上の方ばかり。
最長の方は20年も参加なさっているそうです。
読み始められたのは40代の頃だったということになります。

このたびは、源氏物語の後半「匂宮」から始まりました。

ご満足いただけているかどうかは心配なところですが、
私自身は『源氏物語』を読み返しながら、
それはそれはおもしろく、その魅力にどっぷりとつかっています。

しかも、ますます『源氏物語』の魅力にとりつかれていくばかりです。

『源氏物語』の時代に思いをはせながら読む

先日、このたび読書会のお話をくださった大学院のときの恩師にお会いしてご指導をいただきました。
その際に、

学生時代に読むのと読み方がまったく違うんです。
物語が息づいているようで、とても面白いんです。
と申し上げたところ、
恩師
それはそうです。
あなた、年をとって大人になったから。

と言われました。

確かに、ただ年を重ねただけなのですが、それなりに人生経験が積まれて、人の生き方について考えるようになっています。それだけに、よけいに『源氏物語』の偉大さやおもしろさを、若い頃よりも味わえるようになっているようです。

高校時代の国語の先生が、受験勉強の最中のことでしたが、

読解力は年を取るにつれてついてきます。

と言われたことが、今やっと腑に落ちた気がしています。

読み方の点で、学生の頃と大きく変化したと思う点は、以下のようなところ。

・時代背景について思いをはせる

・当時、この物語を楽しむに読んだ読者の気持ちに思いをはせる

・この物語の作者紫式部の気持ちに思いをはせる

・当時の人々の生活、楽しみやゴシップ、建物や生活習慣などに思いをはせる

文法やらなにやらに振り回されることなく、ただただ物語を物語として読む。
本来の文学の姿であるはずです。

こういった当時の人々に思いをはせて読みたいと思うとき、役立つの次の本。

源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書) [ 山本淳子 ]

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こうして読んでいくと、『源氏物語』の中でうごめく人々の気持ちに共感もし、理解もできてくるようです。さらに、日本人のルーツがここにあるなぁ、と気づかされることも多々あります。

『源氏物語』の中に頻出する「聞こえ」

例えば、たいへん目につくのが「聞こえ」(評判)という言葉。
『源氏物語』の中には、なんと「聞こえ」という言葉が多いのでしょう。

このことは、源氏物語前半より後半に顕著になります。

世間の噂や評判、いわゆる世間体を気にする日本人独特の価値観、それはこの平安の世から受け継がれてきたものだったのか、と驚かされました。

しかも、その由来が寝殿造りという当時の、あけぱぁぱぁな建物の造りにあるようなのです。

部屋と部屋とのしきりは御簾、几帳など。
音は筒抜けです。
しかも、のぞき見などという習慣もあります。

女主人の周りには、おつきの女房たちが数多くいて、秘密を守るのは容易なことではなかったでしょう。主人の様子や出来事は、あっというまに人の口の端にのぼってしまう。お行儀悪くしていることもできません。とんでもないことをしでかすこともできません。常に緊張感を強いられていたことでしょう。

こうした習慣が、人目を気にする。世間体を気にする。
という日本の文化を作り上げていったのかもしれません。

まとめ

『源氏物語』を読み始めて、思うことは尽きません。
これから、少しずつご紹介していけたら幸いです。

教科書で学んだ七難しかった古文。
でも、実はたいへんおもしろい文学だということ。
昔の人々が真剣に生きて考え動いている、そういった姿を著わした書物を楽しむこと。

この年齢になって、受験や文法から完全に開放されたからこそ、
心の底から楽しめている気がします。

でも、若いときに、辞書と首っ引きで古文の勉強をした基礎の上に成り立っているのだとも思うのです。

古典文学の超現代語訳*おすすめサイト

古典文学を、おもしろい超現代語訳で連載しているサイトがあります。
例えば『源氏物語』が読みたくてたまらない地方のお姫様のお話。

『更級日記』 門出 を読む

このサイトの中には、『筒井筒』もあります。
お行儀悪くしていると、誰かが物の端から覗いてみているかもしれない。
高校教科書の古文の初歩で出てくる『筒井筒』にそのくだりがあるんです。
「聞こえ」に通じる価値観、庶民でも同じだったのですね。

あるいは、これはイソップのような教訓話だったのかもしれません。

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