日本語の使い方

敬語の種類に注意! 「尊敬」と「謙譲」の使い方を間違えると相手を怒らせてしまうことも

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日本語は世界の中でも難解な言語のようです。

とくに海外の方が難しいと感じられるのは、
日本語の敬語の複雑さにあるようです。

敬語のない英語などは、外国人が学ぶにおいても、その点でとても気が楽ですね。

敬語の使い方の間違いで相手を怒らせてしまうかも!

敬語を正しく使うことができれば、社会人としての品格もグレードアップしますね。

でも、間違った敬語を使うくらいなら、敬語を使わないほうがましだと、
私はつねづね痛感しています。

なぜかと言えば、相手を敬うために使う敬語が、
使い方を間違ったために、
反対に相手を見下す言い方になってしまうことがあるからです。

敬語の種類を理解しないで使っていると、
こういったとんでもないことが起こります。

実際にあったわかりやすい例です。

事例1

会議室にはどなたがいらっしゃるのですか。
クリミア
クリミア
うちのスタッフがいらっしゃいます。

え? え?
おかしいと思われますよね。

ここでは、自分の身内を尊敬して高めることで、
相手を下に見ているという言い方になっています。

でも、これなどまだいいほうなんです。

これだけでも、少々むっとしますが、
さらにひどい例が次のような事例です。

事例2

では、お宅に伺ってお食事をごちそうになりますね。
了解です。
うちに来て食事をいただいてください。

「いただく」というのは、通常、自分の動作を低めることで相手に尊敬の気持ちを表す言葉。

相手の動作に「いただく」を使っては、相手の動作を下げてしまうことになります。
完全に相手を下に見た言い方ですね。

こんなふうに言われたら、相手がかちんときて怒ってしまっても無理はありません。

平安時代の文学作品、例えば『源氏物語』の中などでは、このように自分が上で相手の動作を下にみるような言い方はありえました。
帝(今の天皇)は、絶対的権力を持っていて、帝よりも上の方はいませんから、
帝には最高敬語が用いられ、帝が他の人の動作を下にみて表現するのはふつうのことでした。

でも、それは帝という特殊なお立場の方のこと。

通常、現代の私たちが社会生活を行ううえでは、ほぼありえないと考えられます。

相手を見下す敬語を使うくらいなら、
敬語を使わないほうがまだましですね。

少なくとも、相手を下に見るというミスはしなくてすみます。

敬語には3つの種類がある

さきほどご紹介したような間違いを犯さないために、
まずは敬語の種類を理解することが必須です。

敬語には、3つの種類があります。

★敬語の3つの種類

①尊敬
②謙譲
③丁寧

それぞれについて説明してみましょう。

①尊敬

「尊敬」は、相手の動作について使うもので、
相手の動作を高めることで、相手への敬意を表します。

図にするとこんな感じですね。
自分と相手が最初は同じ高さにいたとしますね。

次に、相手の動作に尊敬の意味をあらわす言葉を使うことによって、
相手を高め、自分より相手が高い位置に配されて敬意を表しているのです。

②謙譲

謙譲の場合は、上の図のような感じです。
相手と自分が同じ高さにいるところからスタートします。
自分の動作を低く謙譲語で表すことで、相手より自分が低くなり、
結果、相手への敬意を表すことできています。

自分がへりくだることで、相手を高めて敬意を表することができるわけですね。

ですから、最初に見ていただいた例のように、
相手の動作に謙譲語を使ってしまったら、たいへんなことになるのです。

相手を見下しているわけですからね。

自分では敬語を使ったつもりでいるのかもしれませんが、
こんな失敗をしていたら、敬語など使わないほうがまし!
となります。

相手をさげすまなくてすみますから。

「尊敬」と「謙譲」の使い分けがよくわからない場合は、
むやみに敬語を使うのはやめましょう。

とんでもない失敗をしなくてすみます。

また、この使い方の間違いによって、
動作の主が誰かわからず相手を混乱させてしまうこともありえます。

すると、相手は話の意味を理解することができなくなります。
「話の通じない人」と思われてしまうかもしれません。

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③丁寧

では、3番目の「丁寧」とは、どういったものでしょうか。

こちらは、ものなどに「お」や「ご」などの接頭語をつけることで、
丁寧な表現となり、丁寧に話すということは相手への敬意を表している、とする言い方などです。

「弁当持った?」

と言うよりは、

「お弁当持った?」

と言ったほうが、なんとなく丁寧な感じがしますよね。

さらに敬語を加えるなら、

「お弁当はお持ちになりましたか?」

などになります。

「ご挨拶」「お返事」「おかばん」「お足元」・・・

などなど、よく耳にされる言い回しも多いことと思います。

また、語尾に「ございます」などをつけるのも丁寧語のうちのひとつです。

これだけはおさえておきたい敬語

繰り返しになりますが、「尊敬」と「謙譲」の語がよくわからない場合には、
敬語を使わないほうが無難です。

それでも、敬語を使って相手への敬意を表したい。
敬語を使いこなせるようになりたい。

とお考えの方は多いことでしょう。

TVなどでタレントさんがインタビューなさっている場面では、
敬語の間違いがけっこうありますので、注意!

その点、NHKのアナウンサーさんはさすがです。
完璧に敬語をあやつられますから、NHKのアナウンサーの方が話されるを参考にされるのは良いですね。

こちらでは、これを知っていれば敬語を間違わない!
というポイントをご紹介します。

使える敬語・第一段階

①相手の動作を「尊敬」したいとき

「お・・・なる」を使う
ex. おはなしになる お出かけになる お読みになる お食べになる おやすみになる
上品な印象の敬語になります。

②謙譲語であることをしっかり理解して使う

「いただく」「申す」
は謙譲です。相手の動作にはぜったいに使わないように。
自分の動作に使います。

使える敬語・第二段階

下記はよく使われる敬語です。
余裕があれば覚えてしまいましょう。

基本形 尊敬語 謙譲語 丁寧語
動作の主は? 相手 自分 問わない
する なさる、される いたす
させていただく
します
言う おっしゃる、言われる 申す、申し上げる 言います
行く いらっしゃる、おいでになる うかがう、参る 行きます
来る いらっしゃる、おいでになる、見える、お越しになる 参る、伺う 来ます
知る お知りになる、ご存じだ 存じる、存じ上げる、承知する 知っています
食べる 召し上がる いただく、頂戴する 食べます
いる いらっしゃる
おいでになる
おる います
見る ご覧になる 拝見する 見ます
聞く お聞きになる 拝聴する、うかがう 聞きます
座る お掛けになる 座ります
会う お会いになる、会われる お目にかかる 会います
伝える お伝えになる 申し伝える 伝えます
わかる おわかりになる
ご理解いただく
かしこまる、承知する わかりました
読む お読みになる 拝読する 読みます
与える くださる、お与えになる 差し上げる あげます
受け取る お受け取りになる 賜る、頂戴する、拝受する 受けとります
利用する ご利用になる 利用させていただく 利用します
思う お思いになる、おぼし召す 存じる、拝察する 思います
買う お買いになる、お求めになる 買わせていただく 買います
考える お考えになる、ご高察なさる 拝察する、検討いたします 考えます
待つ お待ちになる、お待ちくださる お待ちする 待ちます
帰る お帰りになる、帰られる おいとまする 帰ります
御宅(おんたく) 拙宅(せったく)
会社 貴社(きしゃ)
御社(おんしゃ)
弊社(へいしゃ)
貴店(きてん) 弊店(へいてん)
銀行 貴行(きこう) 弊行(へいこう)
学校 貴校(きこう) 弊校(へいこう)
新聞 貴紙(きし) 弊紙(へいし)
小紙(しょうし)
雑誌 貴誌(きし) 弊誌(へいし)
小誌(しょうし)

「相対敬語」と「絶対敬語」

日本語の敬語は、相手や立場の変化で敬意の表し方が変わる「相対敬語」。
そのことが、日本語の敬語は難しいとされる理由のひとつかもしれませんね。

韓国語も敬語を用いますが、
韓国語の敬語は「絶対敬語」。

相手との関係で敬語の使い方に変化がありません。

例えば日本では、他社の人間に対しては、自分の会社の人間は上司であっても「謙譲」を使って、相手をたてます。自分の会社の人間は、あくまでも相手よりは下におきます。

家族の言い方も同様です。
自分の親のことは、いつもは

「お母さん」

と言っていても、他人に対しては

「母が・・・」

という言い方に変わりますね。

韓国では違います。
相手が変わっても、「お母さま」は「お母さま」。

社長に対しても同様です。
社外の方に対しても「社長様」という言い方をします。

この相手によって変化する感覚が難しいようで、
中国で出会った日本語に堪能なビジネスマンは、
息子がいつも
「母が○○だから。」
と話していたのをそのまま真似して、
「母はどう言ってる?」
などという言い回しをしていました。

常に、自分と相手の位置関係を頭において使いこなさなければならない日本語の敬語。

難しいですが、しっかりマスターしてハイレベルな日本語を使いこなせるようになりましょう。


口語文法は中学で、文語文法は高校で学びます。
ですから、中学の文法をしっかり理解できていれば敬語も使いこなせるはずなのです。

でも、古文を勉強すると、敬語の感覚は磨かれます。
高校生の方は、デキル社会人になるため、と思って古文の勉強にも力を注いでくださいね。

 

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